京都大学臨海実習第1部(その2)

posted by marikok
京都大学臨海実習第1部(その1)の続きです。
4日目は畠島に渡航します。まずは中野先生の講義から、紀伊半島を取り巻く海洋環境や生物の多様性、畠島の生物相などを学びます。
なお、紀伊半島の海洋環境と海岸生物の関係については、大垣(2011)で総括的に議論されています。
大垣(2011)浅海生物相の長期変動―紀州田辺湾の自然史
採集実習船Zoeaに乗って畠島まで移動します。台風8号の接近で風が出てきていました。午後遅くなると荒天が予想されるため、予定(干潮時刻)より早めに帰港することにしました。
5分ほど船に揺られて畠島に到着!まずは内湾側の岩礁から観察します。
このように、溝の奥に網を設置しておいて、そこに生物を追い込むのはうまい方法です。とはいえ、地形利用するのは我々だけではありません。相手(魚)も隠れやすい場所や抜け道を熟知しており、追い込んだと思ったら採れてない、ということはよくあります。  <°)))彡 ====3
3人いれば、このように大きな転石もひっくりかえすことができます。大きな転石は、頻繁にごろごろと動かないため、小さな転石よりも多くの生物が期待できるでしょう。転石は、観察と採集が終わったら元の状態に戻します。
低気圧のせいか、思ったより潮がひいてないですね…。というときに活躍するのが箱めがね。彼らは魚を観察したいがために得物として箱めがねをチョイスしました。
今日は小丸島の転石帯までで採集を終えました。最後にムラサキオカヤドカリを観察しました。なお、オカヤドカリは天然記念物となっているので、持ち帰ることはせず、その場で観察しました。この写真の個体は、窮屈なコシダカサザエの殻を使っており、体が殻に収まりきらないようです。
採集条件のあまり良くない日でしたが、それでも8門91種が観察できました。現在の田辺湾ではすっかり珍しくなってしまったスナガニを実習生が採集してくれましたので、白浜の海岸生物観察ガイドの写真を更新できそうです!
京都大学臨海実習第1部(その3)に続く。
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