京都大学臨海実習第1部(その3)

posted by marikok

京都大学臨海実習第1部(その2)の続きです。

5日目は最寄りの漁港で、付着生物と浮遊生物(プランクトン)を採集しました。奥に見える生け簀周辺のフロート下部に付着している生物をはがして採集し(管轄の白浜漁協に許可を取っています)、目の粗い網と細かい網で表層を曳いてプランクトンを集めました。

どこからか、「今日の同定は大変そうだなァ」という声が聞こえてきます。よくご存じで。

実習で生物を種まで同定するのにはいくつかハードルがありますが、付着生物やプランクトンは、図鑑が整備されていない分類群や小さくて見にくい分類群を多く含みます。なので、図鑑に載ってない、あるいは図鑑に載っていそうであるが特徴となる形質がすぐに観察できないなどの理由で種まで同定できず、「ナントカ科の一種」などとすることが多いです。しかし、単なる絵合わせではなく、なぜその生き物が「ナントカ科」に属するのか根拠を調べることで、分類体系をより理解できたのではないでしょうか。

この実習では付着生物やプランクトンの形態的特徴を観察するため、各自の選んだ生物のスケッチを行いました。

6日目は再びZoeaを使って砂泥中の生物を採集しました。田辺湾外でドレッジを曳く予定でしたが、台風の余波でまだ荒れているため、湾内でスミス・マッキンタイヤ採泥器を用いました。
湾内の異なる環境3か所で採泥をし、その中の生物を顕微鏡を使って探します。
砂や泥から生物をピックアップするのは大変な作業ですが、発見できたときの喜びもひとしお。どの基質からも節足動物、軟体動物、環形動物を中心にそれなりの種数が出現しました。
これは潮流の早い場所の砂からわたしが見つけたヤムシです。底生性のヤムシは基質表面に付着するための付着器を持つのですが、このヤムシにはそれがなく、浮遊性のヤムシが混獲されただけかもしれません。
今日の夜は最終なので、実習生、教員、TAで打ち上げを行いました!

今回は台風の接近などがありましたが、無事すべての実習コンテンツを終了できました。この後レポートを提出して完了です。

実習生の皆さん、お疲れさまでした!
この実習経験が、今後の学びに活かせますよう。

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