第9回国際ヒドロ虫学会開催(その1)

posted by marikok

6月19~26日に静岡県下田市にて、第9回国際ヒドロ虫学会が開催されました。オーガナイザーはDhugal Lindsay会長(JAMSTEC)、三宅裕志先生(北里大学)、日高弥子さん(JAMSTEC)、戸篠祥さん(黒潮生物研)です。
この大会では、刺胞動物のヒドロ虫類(+α)に関する23題の口頭発表と10題のポスター発表に加え、現地のヒドロ虫類の採集や同定などを行いました。各国の研究者が集まって、最新の研究成果や分類に関する情報が盛んにやり取りされました。

The Hydrozoan Society(国際ヒドロ虫学会)
Homepage: http://www.hydrozoa.org/
Facebook: https://www.facebook.com/HydrozoanSociety/

1日目は、神奈川県藤沢市にある、古くからクラゲの飼育展示で有名な新江の島水族館でスタートしました。クラゲたちの看板がお出迎え。わたしが到着したのは午後6時過ぎだったので、いつもは賑やかであろう窓口は静か。水族館のバックヤードツアーには間に合わず残念でしたが、竹嶋館長によるご講演は聴くことができました!

2日目は下田市にバスで移動して、筑波大学下田臨海実験センターで飼育室や標本室などを一通り見学させていただきました。今回はセンター周辺におけるヒドロ虫の採集や観察のため、下田臨海実験センターにお世話になりました。
その後は、ホテルの会場で久保田先生(ベニクラゲ再生生物学体験研究所)による、日本におけるヒドロ虫類の研究活動に関するご講演がありました。
3日目はメインイベントの1つであるヒドロ虫採集です。下田臨海実験センターの前の海からつくばⅡに乗船して、各ポイントでドレッジとプランクトンネットを使って採集します。
今回使用したのは、下田臨海実験センターで開発された植田式ドレッジです。取り扱いやすさと採集効率を徹底的に追求したものであるとのこと。このドレッジの手前に水中カメラを取り付けて、ドレッジを曳いた場所がどのような海底環境であるかが後から確認できるようになっています。
ドレッジが着底後、5分ほどドレッジを曳いて揚収しました。採集物を船上でふるいにかけ、大型の生物をより分けます。1地点でバケツ一杯の生物が採集されました。ヒドロ虫以外にも八放サンゴなどの刺胞動物がたくさん採れています。わたしはふるいを通過した砂を採取。70~110m深の3地点でドレッジ採集しました。
次はプランクトンネット採集。このネットはクラゲ用にカスタマイズされているようです。底管(コッドエンド)の部分が大きな瓶になっており、ネット上部の目合が粗目になっているもの。10~245mの様々な水深の5定点で鉛直引きを行いました。
採集されたヒドロ虫は、実験室に持ち帰って顕微鏡下で同定します。肉眼でもある程度分かるものもあり、特に透明なクラゲ類などは、このように背景を黒にして横から光を当てると観察しやすくなります。ネットサンプルには管クラゲ類や硬クラゲ類など、ポリプのステージを持たないヒドロクラゲが多く採集されていました。ドレッジサンプルの砂には、間隙性のヒドロ虫を期待していたのですが、今回は見つからず断念。
第9回国際ヒドロ虫学会開催(その2)に続く。
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