第9回国際ヒドロ虫学会開催(その2)

posted by marikok

第9回国際ヒドロ虫学会開催(その1)の続きです。

4日目から研究発表の始まりです。Lindsay会長のROVを使った深海調査の成果発表で幕を開けました。深海ではこれまで見たことのないクラゲやクシクラゲが相次いで発見されており、現在記載準備中であるとのこと。
ポスターセッションの風景です。私はヒドロ虫ではなくエチゼンクラゲ(鉢虫類)の発表でしたが、鉢虫類専門の研究者やエチゼンクラゲの主要な生息地である中国の研究者も参加していたので、有用な情報交換ができました。
5日目は少し遠出をして、沼津市のブルーコーナーという会社にやってきました。ここでは、世界各地の海から採集されてきた生体を一時飼育し、水族館や研究機関に卸しています。テレビでも有名ですが、特に深海生物に力を入れられています。実際の飼育の様子や仕入れの状況などを、代表取締役の石垣さんが直々に解説してくださいました!
6~8日目は、研究発表とヒドロ虫の採集・観察でした(楽しすぎてほとんど写真がありません…)。研究発表は非公開なので割愛しますが、シュノーケリングや磯採集などで採れたヒドロ虫を実験室で観察、同定しました。シュノーケリングでは、海藻であるアラメの大きな群落があり、葉の基部のカップ状になっている部分にヒドロ虫のポリプを発見!ほとんどのアラメにヒドロ虫がいたので、良い生息地になっていると思われます。わたしは小型のアラメを下田臨海実験センターの谷口先生に採っていただいたので、実習用の押し葉標本にするため持ち帰ることにしました。
これは今回試用させていただいたスゴい顕微鏡。透過型レーザー走査顕微鏡というものだそうです。鮮明な映像が撮れるだけでなく、3次元的な構造の情報も取得できるとか。わたしは、小さなヒドロクラゲの刺胞や水管内の繊毛などを観察してみました。
次の国際ヒドロ虫学会の開催予定地は、ノルウェーに決定!2022年頃を予定しているとのこと。ノルウェーといえば、クラゲ研究で有名なフィヨルドがありますね。論文を目にするたびに一度行ってみたいと思っていました。ため息が出るほど美しい場所のようです…
最終日の9日目は、下田海中水族館にやってきました。自然の地形を利用した素晴らしい景観の水族館です。もちろん、遊びに来たわけではありません。
水族館の皆さんのありがたいご協力で、生け簀や水槽のヒドロ虫を採集。このようにフロートの下を覗くと、ヒドロ虫のポリプが付いているのが見えることがあります。久保田先生に教えてもらった通りムラサキイガイを採集できたので、カイヤドリヒドラクラゲのポリプも観察できました。
この国際ヒドロ虫学会は、今回初めて日本で開催されました。わたしは下田の海も初めて訪れたので、本当に貴重な機会でした。
オーガナイザーの皆さま、下田臨海実験センターの皆さま、そしてヒドロ虫学会参加者の皆さま、ありがとうございました!!
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