沿岸域生態系多様性実習・森里海連環学実習4~河川編~

posted by marikok

沿岸域生態系多様性実習・森里海連環学実習~プランクトン編~の続きです。

5日目(3/25)。2日目に行った高瀬川の上流にやってきました。ここは富田川の支流で比較的自然のままの状態が保たれていますが、近くに湧水の水くみスポットがあるので、意外と人気(ひとけ)がある場所です。
水はとても澄んでいます。まだまだ水が冷たい時期なので、魚はあまり活発ではありません。しかし、水生昆虫(トンボやカゲロウの幼虫など)はある程度大きく成長していて、採集するにはよい時期です。
川ではカワゲラやトビケラの幼虫も採れますが、すでに羽化して成虫になっているものも捕虫網で採集します。幼虫と成虫の形態を見比べてみると、ぱっと見は全然違うのですが、顔はよく似ていたりします。
ここは少し川を下った場所で、ホタルの保護区として知られています(採集調査には町の許可が必要です)。ただし、この時期はすでにホタルの幼虫は川岸の土中に移動しているのか、この実習で採れたことはありません。また、カワニナが川床にたくさんいますが、ホタルの幼虫の主食となるので、カワニナの採集は最低限に留めます。上流とは異なり、若干川の流れが穏やかなので、川岸近くに草などが繁茂しており、そこを網で探ると両側回遊性のヌマエビの仲間が採れます。
これはトビケラの幼虫です。種によってさまざまな素材(砂や石、陸上植物の破片など)で自分の巣を作り、その中にすんでいます。
栄養塩(ケイ素)をパックテストを使って測定しているところです。硝酸やリン酸のパックテストは現場でも測定できるのですが、ケイ素はいくつかの反応ステップが必要なので、水を持ち帰って測定します。
出現種は、ほぼ水生昆虫と甲殻類に占められ、かなり良好な河川環境でないと生息できない水生昆虫が含まれていました。個人的には、ヒメフナムシという淡水性のフナムシがいることを初めて知って驚きました。フナムシって川にもいるんですね。
今日の夜は最終日前夜ということで、反省会で締めました!
ただし、明日は調査結果をまとめて発表するので、このあとも頑張って準備をしたそうです。
最終日(3/26)。各班(海、河口、上流、中流)に分かれての発表です。ここでは、担当する生態系の概要(生物相や水質の特徴)を説明し、隣接する生態系とのつながりを考察します。今回は、自分がこれまで見てきた異なる地域の環境との比較をしたり、昆虫の進化について皆で考えたりなど、様々な発想で発表が構成されており、聞いている方もとても勉強になりました。
解散前に水族館で写真撮影。フィールド調査の毎日は、いかがだったでしょうか?皆さん、本当にお疲れさまでした!
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