The Lee Kong Chian Natural History Museumでの標本調査研究

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 日本に分布する甲殻類のうち(分類群にもよりますが)、60~70%の種が、黒潮流域から西部太平洋~インド洋にまで分布します。 また日本の種は、その研究の初期においてヨーロッパやアメリカの研究者によって研究されたため、日本産種が新種として発表された時の証拠標本(タイプ標本)のかなりのものが、欧米の博物館に保管されています。
 そのため日本の甲殻類の分類学の研究をしようと思ったら、広く西部太平洋~インド洋産の標本を研究する必要があります。またタイプ標本の調査には、ヨーロッパやアメリカの博物館を始めとする世界の各地にあるタイプ標本を所蔵されている大型の博物館に出かけなければなりません。
 The Lee Kong Chian Natural History Museumは、東南アジアの甲殻類の標本を多数所蔵し、その標本を調査研究することは大変に重要であり、役立ちます。それで、今回、その博物館を訪問してきました。
世界のいろいろな人が来て、人が標本の調査研究をしています。 左端の茶色のシャツの人がアメリカのProf. Peter Castro (California State Polytechnic University)、一人おいてデスクの右端で顕微鏡をのぞいているのがオーストラリア博物館のDr. Shane Ahyong、その右に立っている青いシャツの人がアジアの巨人Prof. Peter Ng.
向かって左がオランダ国立自然史博物館のDr. Sancia van der Meij。瀬戸臨海実験所alumnusの座安佑奈さんと共同で、サンゴヤドリガニの系統分類の研究をしています。 向かって右が、東南アジアのヤドカリ類の分類学の第一人者であるProf. Dwi Listyo Rahayu (Research Center for Oceanography, Indonesia)。
Rahayuさんと私は、瀬戸臨海実験所の前の所長である白山義久教授がされていたNaGISAプロジェクトで、インドネシアの海岸域のヤドカリ類の図鑑を作りました。[Common Littoral Hermit Crabs of Indonesia (2009) D.L. Rahayu and A.J. Wahyudi.   A. Asakura (Supervisingg Editor).  Susetiono and Y. Shirayama (eds.)] 白山先生の全世界的プロジェクトであるNaGISAには、世界のあらゆる地域の研究者が参加しています。白山先生は100年に一人ぐらいしか現れないような、天才的研究プロモーターですね。
甲殻類の標本棚。集密棚に太平洋、インド洋のさまざまな地域の甲殻類が、分類群ごとに整理されています。
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