祝! 和田葉子さん 論文発表! 

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 前報の宮嶋さんに引き続き、瀬戸臨海実験所の教育拠点共同研究員として、当実験所を活用されている和田葉子さん(奈良女子大学大学院)が、ここで行われた研究を基とした論文を発表されました。おめでとうございます。

Yoko Wada, Keiji Iwasaki, Yoichi Yusa (2015)

Prey density affects strengths of density- and trait-mediated indirect interactions of predators on an algal community

Journal of Experimental Marine Biology and Ecology
Volume 468, July 2015, Pages 67–73
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 間接効果は生態系の構造を明らかにする上で重要な役割を担っていることから、これまで、陸・水両域において多くの研究がなされてきました。捕食者が被食者を通して植物などの資源に及ぼす間接効果には、密度媒介型と形質媒介型の2種類あるとされています。先行研究では、密度媒介型と形質媒介型の間接効果の大きさを決める要因として、捕食者の特性 (例えば捕食方法) や資源の特性 (例えば資源の質) が注目されてきました。しかし、これまでに、間接効果を媒介する被食者の特性について調べた研究はほとんど存在しません。そのため、本研究では、岩礁潮間帯に存在する「捕食者 イボニシ Thais clavigera - 被食者 キクノハナガイ Siphonaria sirius - 資源 藻類相」という系を用い、被食者の密度の違いが、密度媒介型と形質媒介型間接効果の大きさに与える影響を評価する野外実験を行いました。被食者であるキクノハナガイは、家痕を形成しており、その周りは藍藻Lithoderma sp.に覆われています。実験の結果、密度の低い区で
は、捕食者存在下で被食者キクノハナガイの摂餌率が低下し、密度媒介と形質媒介型の両間接効果によって藍藻が緑藻に置き換わることが分かりました。一方で、密度が高い区では、両間接効果とも緑藻の被度に影響を及ぼさないことが分かりました。以上の結果から、自然状況下において、密度媒介型と形質媒介型間接効果は共に、資源の群集構造 (藻類相) に重要な影響を与えること、そして密度媒介型と形質媒介型間接効果の大きさは、捕食者や資源の特性同様、密度という被食者の特性によって影響を受けることが明らかになりました。
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和田葉子さんは、これまでもいくつかのすぐれた論文を国際誌に発表されてきました。
そして、このブログでも紹介してきました。

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Changes in Algal Community Structure via Density- and Trait-mediated Indirect Interactions in a Marine Ecosystem. 
 By Yoko Wada, Keiji Iwasaki, and Yoichi Yusa
Ecology http://dx.doi.org/10.1890/12-0725.1
 http://setoblo.blogspot.jp/2013/06/blog-post_5937.html
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First finding of the neustonic barnacle Lepas pectinata and nudibranch Fiona pinnata in the deep sea. 
   By WADA Yoko, MIURA Yumi, FUJIWARA Yoshihiro, YAMAMOTO Tomoko, OKOSHI Kenji, YUSA Yoichi. 
   Cah. Biol. Mar. (2013) 54 : 437 – 440.
  http://setoblo.blogspot.jp/2013/08/blog-post_13.html
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 あっぱれ!

   和田葉子さんの、さらなる発展をお祈りします。







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