神戸賞(その4)

平成26年の第4回神戸賞の受賞者は、Vera Maria Ferreira da Silva博士(Professor, Pesquisadora do Instituto Nacional de Pesquisas da Amazônia, Brazil)でした。博士はアマゾンカワイルカ、コビトイルカ、アマゾンマナティーの研究と保全に取り組み、1994年、ケンブリッジ大学で博士号を取得。国立アマゾン研究所副所長、動物倫理委員会議長などを歴任。国際自然保護連合 鯨類専門委員会委員をつとめられています。

Vera Maria Ferreira da Silva博士
 受賞対象となったのは「アマゾンカワイルカとアマゾンマナティーの生態の解明と保全に関する研究」です。
 アマゾンマナティーは、海牛類で唯一淡水域に生息する種です。乱獲により絶滅が危惧されていましたが、人目につきにくく、生態は謎でした。da Silva博士は、保護収容した個体から成熟年齢や妊娠・授乳期間などを調べる一方で、聞き取り調査や遺伝子解析から、地理的分布や地域集団の系統関係、近年の回復傾向などを明らかにしてきました。最近では、保護個体の野生復帰にも取り組んでいます。
 また、原始的なクジラの特徴を持ち「生きた化石」とも呼ばれるアマゾンカワイルカについては、長年にわたる観察から、アマゾン川特有のダイナミックな水位変動に対応した移動パターンや、興味深い社会行動を次々と明らかにしました。例えば、繁殖期のオスが、枝や石を口にくわえてメスにディスプレーをするというのものその一つです。道具を用いた性的ディスプレーは、これまで一部の霊長類でしか見つかっておらず、多くの関連分野からも注目されています。また、遺伝子解析から、実は本種が3種類に分けられることも発見しました。哺乳類の新種の記載は珍しく、アマゾンの奥深さを示す例としても注目されています。
アマゾンカワイルカを調査する博士
受賞記念講演は、平成26年6月にホテルオークラ神戸の平安の間で行われました。講演題目は「アマゾンの生物多様性とカワイルカ・マナティー研究の最前線」でした。
例によって受賞者の研究分野にちなんだ特製トロフィー。アマゾンマナティです。
講演会のようす
参加者みなさんで記念撮影
懇親会にて。日本酒でご満悦の博士
懇親会のあと皆さんで記念撮影
さて来年の受賞者は誰でしょう。もう決定はしていますが、須磨水族園が発表するまでは秘密にしておきます。
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 審査員
朝倉 彰(京都大学教授)
幸島司郎氏(京都大学教授)
幸田正典氏(大阪市立大学教授)
佐藤克文氏(東京大学教授)
亀崎直樹氏(神戸市立須磨海浜水族園研究教育部長/岡山理科大学教授)
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謝辞
このページを書くにあたって、写真の使用許可および一部文章の引用をご許可いただいた神戸市立須磨海浜水族園と亀崎直樹館長に御礼申し上げます。
引用元:http://sumasui.jp/tyousa/cat54/4.html

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