公開臨海実習「藻類の系統と進化」

posted by marikok

3月15~20日に、公開臨海実習「藻類の系統と進化」が行われました。 この実習では、春に実験所周辺で繁茂する海藻を観察します。被子植物の「海草」と海浜植物も観察対象でした。

[海藻の押し葉標本作製]

まず実験所周辺の番所崎を一周して、どの海藻がどんな場所に生育しているかを鰺坂先生(農学研究科)が一通り解説しました。海岸で海藻の色、形、手触り(ときには味も)を観察し、押し葉標本にするために一部採集して、図鑑で詳しく調べます。この日だけで47種の海藻を確認することができました。

[タイドプール調査]

次はタイドプールの海藻の分布を調べる実習です。タイドプールの大きさ、深さ、海からの距離、方角、それから海藻食のウニ類の分布など、海藻分布には種ごとに様々な環境が関係しています。現場で同定作業を行い、それぞれの海藻の水平・鉛直分布を絵に描いて記録します。実験室に帰って、海藻の分布に環境の違いがどのように影響するかを考察して発表しました。

[漂着したアマモの解説]

畠島では、野口先生 (理学研究科) による海草・海浜植物の解説がありました。畠島のある田辺湾にはアマモという海草が生育していますが、運良く、花をつけている個体が漂着しているのを発見しました。アマモの祖先は陸上植物ですが、その花は私たちが目にする陸上植物のものとは全く異なる形態をしており、水中生活への適応がみられます。花は持ち帰って顕微鏡で観察しました。

[トベラの形態変異調査]

また、畠島には人の手がほとんど入っていないため、海浜植物の自然な植生をみることができます。たとえば、トベラという種では、生育環境によって形態が大きく変異していることが観察されました。実習生の解析結果から、風あたりや日照などが葉の大きさや乾燥耐性に影響していると考えられました。

フィールド調査によって、植物の分布と物理的環境の密接な関係を考察することは、植物の生態を理解する上で重要な作業です。実験所周辺の自然を活かした、とても興味深い実習でした。

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