瀬戸臨海実験所の最新の研究成果が記者発表となりました。
著者の皆さん、おめでとうございます!
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本州初記録の熱帯性種リュウキュウナガウニを発見 -温暖化により熱帯性種が分布域を拡大する可能性-
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2019年03月22日
中野智之 フィールド科学教育研究センター助教、河村真理子 同研究員、佐藤崇 総合博物館研究員らの研究グループは、和歌山県白浜町において、本州初記録となる熱帯性のリュウキュウナガウニを発見しました。本種は沖縄以南に分布する熱帯性種であり、本州で発見されるのは初めてです。
本研究グループは、2016年の夏から2017年の夏にかけて、白浜町の海岸で緑色の棘を持つウニを5個体発見しました。紀伊半島が北限であるホンナガウニも緑色の棘を持つことがありますが、ミトコンドリアCOI遺伝子に基づく分子系統解析と骨片の形態観察に基づき、これらの個体はリュウキュウナガウニであることが判明しました。
発見された個体は8~22mmと小型ではあるものの、2016年から2017年にかけて越冬したと考えられ、海の中の温暖化が進んでいる事を示唆しています。1963年から瀬戸臨海実験所が継続して行なっているウニの個体数調査でもリュウキュウナガウニの報告はなく、今後のモニタリングが重要となってきます。
本研究成果は、2019年3月8日に、学術誌「日本ベントス学会誌」に掲載されました。