祝! 諏訪僚太さんがツボムシ新種記載論文の出版!

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 この3月に任期を終えた瀬戸臨海実験所元JSPS特別研究員の諏訪僚太さんが、在任中に行った共同研究の論文が出版されました。おめでとうございます! 

Benny Chan, Gregory Kolbasov, Mamiko Hirose, Takuma Mezaki and Ryota Suwa (2014) Biodiversity and biogeography of the coral boring barnacles of the genus Berndtia (Cirripedia: Acrothoracica) in the West Pacific, with description of three new species. Journal of Natural History, DOI: 10.1080/00222933.2014.896488

 サンゴに穿孔する甲殻類のツボムシ(尖胸上目)として有名なルリツボムシBerndtia purpureaは瀬戸臨海実験所周辺海域において造礁サンゴ類であるルリサンゴLepastrea purpureaとアミメサンゴPsammocora profundacellaから発見され、元実験所所長の内海先生によって1950年に初記載されていました。
 
 今回発表した論文では、B. purpureaは造礁サンゴの1種であるルリサンゴLepastrea purpureaからのみ見つかり、日本、台湾、香港に分布していること、そしてPsammocora属サンゴからのB. purpureaは新種Berndtia haradaiであり、日本から沖縄にかけて分布することが分かりました。これらの新種の存在については瀬戸臨海実験所の元所長である原田先生が早くに気付いておられたことも記しておきたいと思います(参照:動物分類学会誌1992年発行47号、動物分類学会第28回大会記事)。
 本研究ではその他にも新種が見つかっており、Psammocora属サンゴに穿孔する新種Berndtia denticulataは沖縄でよく見られ、フィリピンの太平洋側でも採集されました。さらには、同じくPsammocora属サンゴに穿孔する新種Berndtia utinomii は台湾北東部、日本の高知と和歌山、そしてベトナムに分布し、沖縄には見られないことも分かりました。
 今回記載した全てのツボムシは生体の鰓蓋板の色と形や、1小顎の切り込みの数などによって判別することができます。
ルリサンゴに穿孔するルリツボムシ。白浜円月島北西側水深3mにて撮影。

拡大写真。上記写真の写真中央にみられる瑠璃色部分がルリツボムシ。

 本研究は台湾のAcademia Sinica、ロシアのモスクワ州立大学、琉球大学、黒潮生物研究所との共同研究として行われました。

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