スライドガラス上にビニールテープの土台をつくり,カバーガラスとの間に絶妙な隙間を作り出すのが大教大のお作法です.大学ごとに個性があっておもしろいですね.
待ちに待ったお注射タイムです.塩化アセチルコリンを注射して放精・放卵を促します.それにしてもゴーグル率が高いな.
放精・放卵がうまくいくとこの笑顔!今回は素直なムラサキウニさんが協力してくれました.
採卵・採精が成功したら,あとは観察してスケッチするだけです.ウニの発生は序盤に劇的に変化します.右の写真は受精膜が上がりつつあるところです.目を離すと見逃しちゃいます.
翌日はコシダカウニさんの発生実験です.ムラサキウニより透明度が高く,観察しやすいのが特徴です.
ちょっと目を離した隙に,コシダカさんがこんなことに….でもちょっといいな,と思ってしまった.
左が見やすいコシダカ卵割です.その間に昨日のムラサキウニはきれいな骨片が形成されていました.
観察とスケッチは夜まで続きました.疲れるけど,こういった非日常も臨海実習の醍醐味です.
翌日の朝になると,ムラサキウニはプルテウス幼生のステージに進んでいました.ハシゴ状骨片がよくわかります.
この日のメニューはプランクトンとメイオベントスの観察です.まずは実験所近くの北浜でプランクトンを採集してもらいました.それにしてもなかなか良い写真でしょ?
そして一人の勇者が,南紀と言えどまだ肌寒い海中へと向かいます.彼には泳ぎながらプランクトンネットを曳いてもらいました.カッコイイ.
メイオベントスは様々な基質に潜んでいます.まずは船着場のフジツボを採取します.
こちらは海水が滲み出るまで砂浜を掘り進めて,バケツ1杯の砂を採取します.今まで見た中で一番でかい穴を掘ってくれました.さすが肉体美.
さらにタイドプールでは石灰藻(ピリヒバなど)を集めました.
こうして集めた基質に水を入れて強めにシェイクです.そうすると,基質にしがみついていたベントスが水中に放たれるので,プランクトンネットで集めることができるのです.あ,別にサングランスは要りません.
砂も水を入れてよーくかき混ぜてから,プランクトンネットで上澄みを漉します.
こうして集めたサンプルからメイオベントスを探し出し,スケッチを行います.この探し出す作業が結構楽しいのです.
今回も無事にクマムシさんと動吻動物が見つかりました.これらは是非とも観察して欲しいターゲットです.今年の実習でも見つけられますように.
実習メニューの最後を飾るのは,畠島実験地での生物観察と採集です.今回は瀬戸臨海実験所が誇る実習船「ヤンチナ」に乗って畠島に上陸します.
石の下には様々な磯生物が潜んでいます.手頃なサイズから,右のような巨大な岩までひっくり返しては生息環境を観察します.もちろんあとで石は元に戻します.
この日は天候に恵まれて暑いぐらいでした.潮の引き具合も最高で,採集日和です.
今回は写真のクロシタナシウミウシが多く観察されました.レア種というわけではないものの,いつも見られるわけではありません.実習室にもどってから産卵行動も観察できました.