奈良女子大学 臨海実習(2017 6/6-10)

posted by TPS

6月6日から10日まで,奈良女子大学の臨海実習が行われました.

この実習では,磯観察・プランクトン観察・磯生物を扱った自由研究と発表・海藻の観察・タイドプール調査と発表を実質4日間でこなします.え,4日で?というくらい濃い実習です.

初日はオリエンテーションのみで終了です.前回の和歌山大もそうですが,奈良女の実習も天気に恵まれないことが多いようです.季節がらなのか,それとも….

翌日からフィールド調査がはじまりました.天候は雨です.みなさん雨合羽を装備して海岸へと向かいました.

これだけそろうと壮観ですね.なかなか見られない何かの儀式に向かうかのようなカッパ隊の行列です.このあと数枚はカッパ隊の写真が続きます.

遊佐先生から磯生物の帯状分布について解説を受けるカッパ隊です.この場所は写真では完全に干出していますが,満潮時には海面下となる潮間帯です.

岩場につく牡蠣やヒザラガイについての解説をメモするカッパ隊(しつこい).個人的に言葉の響きが気に入りました.

天候は良くありませんが,潮が引き,風がないので観察はしやすかったでしょう.海藻が消え始める時期なので,足元は岩肌が目立ちます.

タイドプールの解説に聞き入るカッパ…実習生です.奈良女のみなさんは,吸収が早いのでとても助かります.この日のタイドプールでは,右の写真のようなコシダカさんが5個体もみつかりました.

ラボに戻るとプランクトンの観察が待っていました.天候のせいもあって,自分たちで採集することはできませんでしたが,技術職員の方々のご協力で2地点のプランクトンを観察できました.

湾内と外海に面した場所でプランクトンに違いはみられるでしょうか.

今回はこんなプランクトンがみつかりました.左はお馴染みのベリジャー,右は群体ホヤのオタマジャクシ型幼生です.いつもみかけるオタマボヤとの違いが明瞭ですね.先端の3本の棒が付着器です.

翌日は自由課題研究です.前日のタイドプールの様子をふまえて,班ごとにテーマを決めて研究内容を組み立てていきます.

今回の実習ではこのような研究テーマを進めていくようです.

夕方の発表までにそれほど時間はありません.テーマが決まり次第,タイドプールでサンプルとデータ収集をはじめます.

時間が…ないってばよ.

ラボに戻ったら早速実験です.こちらはシマレイシガイダマシがペアをつくる理由を調べています.

この班はウニの逃避行動を観察するために,ウニのすりつぶし液を加えているようです.結構種ごとに色が違うものですね.

水槽を暗くしてウニの走光性を観察したり,障害物を配置して生息場所の選択性を観察する“装置”を作った班もありました.

発表内容は割愛しますが,いつもながら短時間で良くまとめられるものだと感心してしまいます.すばらしい!

4日目は野外で海藻の観察を行いました.天気はすっかり回復してフィールド日和です.

ここで様々な海藻の種類と生息場所を覚えておかないと,翌日が大変なことになります.みんな真剣にメモを取り採集に励んでいますね.

採集した海藻は押し葉標本にしていきます.これで詳細な形態の特徴もつかめますし,標本は実習の記念にもなります.このフレーズは今まで何回使っただろう….

今回の実習では,最終日も調査を行いました.毎年恒例のタイドプール内の海藻調査です.2種類のタイドプールを選択し,その中の海藻や動物の分布状況を比較します.違いがみられた場合は,その理由を考察して発表してもらうことになります.

もちろんタイドプール底部の海藻を観察するためには,海水を掻き出す必要があります.左の写真から右の写真へと調査は進んでいきました.

調査後は生物を保護するために掻き出した海水を元に戻します.これがなかなかの重労働なのです.あれ?なんか人数多いなぁ.

調査結果を持ち帰って,午後の研究発表のための資料を作成しています.班のメンバーと相談しつつ,タイドプールの平面図・断面図を描いていきます.

発表準備中の実習室の様子です.当然ですがみなさん真剣に議論していますね.

そして研究発表です.何度も言いますが,本当に短時間でよくぞここまでまとめました…という発表ばかりです.分布の違いとタイドプールの環境要因との関連も良く考察できていました.

そしてこの満面の笑顔です.最後は天候にも恵まれてよかったですね.お疲れ様でした.

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