Posted by TPS
(昨年の)9月20日~25日にかけて,大阪大学インターナショナルカレッジの臨海実習がおこなわれました.かろうじて周回遅れになる前にブログにできました….
本実習のメニューは,磯採集・観察、ウニの発生観察,ウニの解剖,フナムシの交代転向反応,十脚類の解剖と中々に盛りだくさんです.
まず初日は標本の観察と水族館の見学ツアーからスタートです. 白浜水族館は海産無脊椎動物の展示に力を入れているため,採集前の予備学習にはうってつけです.
その後は北浜の岩礁地帯での採集に繰り出しました.班ごとにターゲットとなる分類群が割り振られているので,とても効率的でした.
こちらは魚類班.岩の隙間に入り込んだスズメダイを追い出そうと苦心しています.
漂着した浮きの穴からゴカイの仲間を採集できました.
ラボに戻ってからは同定作業に没頭します.白浜の海岸生物観察ガイドが大活躍(宣伝)!
この実習では,採集した生き物の情報をデータベースに登録していくのが特徴です.採れたての情報が蓄積されて,次年度以降にも活用できるのはすばらしいですね.
2日目はウニの発生がメインです.まずは山田先生によるウニの講義です.
今回はムラサキウニさんに協力してもらいました.無事に卵を採取できたようです.
あとはひたすら観察するのみです.ウニの発生は受精からの数時間の変化が大きいので,序盤は大忙しです.
昼からは番所崎での採集でした.大きめのタイドプールからはヒョウモンダコが!咬まれたら危険です.
この日も夜遅くまで同定作業が続きます.貝類は多様度が高いので,なかなか時間がかかります.右側は刺胞動物チームです.顕微鏡でイソギンチャクの触手をカウント中でしょうか.
3日目はウニの解剖からスタートです.昨日と同様,山田先生からウニの外部構造や内部構造について解説してもらいました.
写真のようにヤスリで殻の外側を丁寧に削っていくと…右のようにきれいに割ることができます.これで内部形態が観察しやすくなりました.
こんなデカイ「ウニ」も採集されていました.山のウニですけどね.
午後からは行動観察のためのフナムシを採集に出かけました.強い日差しの中,磯のスピードキングを捕まえるのは本当に大変です.
無事に捕獲できたら,アルミホイルで通路を作りフナムシの行動を観察します.
通路の作り方にも個性が出ますね.曲がり角が続くとどういう行動を示すでしょう?
最終日の朝には何やら高級食材が立派な甲殻類が水槽に降臨していました.これをどうするのでしょう.
この日のメニューは十脚類の解剖です.Thorsten先生が十脚類の体節構造を解説しています.
実際に解剖しつつ,顎や脚の位置と構造を確認していきます.
ちょっと複雑なところは先生が手助けしてくれます.クルマエビとガザミでうまく比較できたでしょうか.
観察した(発見できた)触角,小顎,大顎,顎脚,歩脚を紙に貼ってレポートの完成です.なかなかユニーク!
この日の締めくくりは,各班が担当していた動物群の発表です.どんな種類が採れたか,どんな情報が増えたかを各人が報告しました.以上で実習メニューは終了です.
実習の後は完璧なBBQの始まりです.天気にも恵まれて楽しい一夜になりました.観察後の十脚類も,もちろんおいしくいただきました.
デザートは焼きマシュマロ.なんだか雰囲気の良い写真が撮れました.みなさんお疲れ様でした.