海産無脊椎動物分子系統学実習⑫

打ち上げ翌日は最終日,いよいよ成果発表です!
トップバッターはコガモガイ類の分子系統.
様々な基質に付着する個体を解析し,
基質と系統との違いを考えてもらいました.
いくつか,本州にいるとは考えにくい種の配列が読まれており,
果たして種の新分布域の発見なのか,
それとも解析上のハンドリングミスなのか,
色々な意見が飛び交いました.
お次はプランクトンの発表.
今回はヤムシ,プルテウス,ネクトキータ幼生の解析に成功し,
それらとウェブ上のデータを比較して,種を推定してもらいました.
興味深かったのが,オフィオプルテウスが,
高確率でハナクシノハクモヒトデOphiura ooplaxの幼生である事が判明したことです.
本種は東シナ海から太平洋海域に生息しているのですが,概して深海性であるため,
今回の結果は,深海種の幼生が,田辺湾の入り口まで流れ着いていることを示唆します.
分子系統解析がの種の同定ツールとしての有用性を示していますが,
一方で,今回は一個体をまるまる解析に用いてしまったので,
証拠標本が残らないなどの問題点も指摘されました.
今後も内容の改変が必要かもしれません.
ナガウニ類の発表.唯一,実習の第一期から残っているテーマです.
これまでのデータも併せて,段々とナガウニ類の分類が見えてきました.
今年はOBの座安さんから得たリュウキュウナガウニのサンプルのデータも加えられたことで,
更に有意義な考察ができたようです!
そしてウミグモの発表.
今回,最も成功データが少なくなってしまった分類群です.
特に,同種であるにも関わらず採集場所ごとに結果が違ってしまったので,
ひょっとすると固定方法に何か問題があったかもしれないとの結論が得られました.
宮崎先生も見守る中,堂々と発表をしてくれました!
最後はケフサイソガニとタカノケフサイソガニの発表.
この班は解析個体の形態観察から,
ウェブ上のデータの検討までかなり精密に行っていて,
二種を分けた論文(Asakura & Watanabe, 2005)の結果を支持するものとなりました.
興味深い結果に,たくさんの質問が飛び交い,盛り上がりました!
ということで,海産無脊椎動物分子系統学実習のカリキュラムが無事終了しました!
中野先生からの総括の後,参加者の皆さんに一言ずついただきました.
最後に,カリキュラムを終えた参加者の一回り大きくなった姿をご覧ください.
分子系統学への興味,自身の卒研のため,
研究のため...
思いは様々ですが,それぞれに得たものの大きさを語ってくださいました.
また,この実習でリベンジを誓った参加者もいるようです.
最後に朝倉先生のお話で締めです.
記念撮影のあと...
最後は恒例のウミウシフィギュアの配布です.
お疲れ様でした!
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