研究員のMokanishiです。
12月17-21日に、筑波大学で助教をされている中野裕昭さんが来所されました。
中野さんは平板動物という珍しい動物を研究されており、
今回はその採集目的で来所されました。
到着された17日に、ウェルカムパーティをひらきました。
なんとチーズフォンデュです。
このような小さめな鍋の底にニンニクをすりつけ、ゆっくりとチーズを溶かしていきます。
この段階になってきたら、白ワインを加えます。
ワインに引火!?
炎に包まれるふじもん!
ふじもーーーーーーーーーん!!!!!!!
無事でした。
さて、いざフォンデュ!
パンをチーズに絡めます。
トロ~~~~り。
とても美味でした!
こちらはヤンチナの係留所の桟橋に吊るしていたもの。コケムシ、ホヤ、ゴカイの棲管など様々な生き物が付着していました。
こちらは、ガラス板観察用のコの字型の ガラス棒。
ガラス板は両面を観察するので、片面を観察しているときに反対側がつぶれないように板を浮かせるのです。
真剣に顕微鏡をのぞく中野さん
ミッキーも応援しています。
この生物ジャングル状態の中から平板動物を見つけ出します。
果たして平板動物は見つかるのか!?
…
………
…………
みつかりました!
Trichoplax adhaerens
(センモウヒラムシ)です!
今のところ、世界でこの一種しか知られていません。
初見の印象は薄い細胞の塊です。
大きなもので直径2mm位の非常に小さな動物です。
科学的な特徴を挙げると、
・体の厚さは細胞三層分しかない
・背腹の区別はあるが、前後左右の区別はない
・細胞は五種類しかない
・神経がない
・筋肉がない
などなど、ないないづくしの分類学者泣かせの動物です。一言でいえば、ぺちゃんこになった風船のような生きものだそうです(中野さん談)。
来所されたついでに、セミナーを行ってもらいました。詳細はこちら。
たっぷり30分、平板動物のお話を語っても多いました。
質疑応答中。
「動物の中での系統的な位置は?」
「下田で採れるものの遺伝的多様性は?」
「ひっくりかえったら起き上がれるの?」
などなど、議論も活発でした。
瀬戸でも採集の報告がある平板動物ですが、今回初めて実物を目にしてその薄さがよく観察できました。細胞三層分しかないというのも納得です。
またセミナーで最も印象に残ったのが、環境が悪くなると風船型に膨らんだプランクトン状態になるという話で、だとすると分散は?発生はどうなってるの?などなど、次々と疑問がわいてきました。
しかしながら、そういった生態・発生的な部分はほとんどがわかっていないそうです。今後の中野さんの研究の発展に期待です。
中野さんの研究室では平板動物をはじめ、珍渦虫などの動物群を研究対象として発生進化学的研究を進めています。
興味があるかたはこちらをご覧ください。学生も募集中だそうですよ!