最近実験所裏で行った海水中のCO2濃度測定を紹介します。
使用した装置は新しく導入した可搬型二酸化炭素測定装置(型番:CO2-09-SE)。
ポータブル仕様なのですが結構大きいです。NDIR方式(Non Dispersive InfraRed
国立環境研究所の野尻さんと紀本電子工業さんが設計・作成されました。紀本電子さんの機器はとても使いやすいです。
数多くの生物が生息する浅海域ですが、CO2濃度情報は非常に乏しいです。
彼らをとりまくCO2環境を知ることは、海洋酸性化に対する生物影響を把握する上でとても重要です。
装置は実験所北側にある船を海に降ろすスロープ上に設置しました。
延びている線は電源コードです。船用のウィンチ室から引きました。
風の抵抗を減らすために坂の上に直接置いたのですが、心許ないのでこの後台を下に敷きました。
CO2センサーです。
センサーは中空チューブになっており非常に軽いため、海中に入れる際には浮かないようにおもりを付けました。
海中にセンサーを入れた状態です。センサーを繋ぐチューブの長さがギリギリで、満潮時には装置本体に波がかぶりそうでした。
センサーはスロープの先に見える突堤の沖1m程度の場所に設置しました。
センサーと測定器を繋ぐ2本のチューブは長く、バラバラにならないように途中で数か所束ねて同じくおもりを付けました。
今回得られた結果です。
大気のCO2濃度は400ppm弱ですが、今回調べた水深1m程のこの地点、この時間帯における値は300ppm強でした。
値の低下はセンサー部のCO2濃度がチューブを通って測定器に届くのに時間が掛かるためです。
水温の急変は温度センサーを途中から海中に入れたため。
夜中まで測定をするつもりだったのですが、突然の暴風と雷雨に見舞われ中断となりました。海の天候は驚くほどすぐに変わります。
今回のお試し測定で改善すべき問題点や新たな興味が数多く出てきました。24時間常時測定を目指して改良していきます。