付着と寄生の境界:エボシガイ類の例
渡部 裕美さん(JAMSTEC・准研究主任)
開催日時:2024年4月23日(火)16:00~17:30、Zoom開催
フジツボ類は付着性甲殻類の一分類群であり、天然物から人工物まで多様な基盤に付着することが知られている。そのため、付着防汚など産業活用の視点からフジツボ類の付着という現象が注目されてきた。フジツボ類には付着基盤を生物とするものも多数あり、特にフクロムシ類は基盤生物を宿主とする寄生生活を行う。このような寄生生活を送るフジツボ類は、有殻のフジツボ類でも複数の系統で出現していることが知られており、これらは寄生性の獲得過程を明らかにする上で注目すべき系統群である。本セミナーでは、最近鹿児島で発見されたコガネウロコムシに寄生するRhizolepas sp.を紹介し、有殻のフジツボ類の分子系統解析から、付着から寄生への移行過程について議論する。
関連論文
Watanabe HK, Uyeno D, Yamamori L, Jimi N, Chen C (2023) From commensalism to parasitism within a genus-level clade of barnacles. Biology Letters 19(7): 20220550.
後藤 龍太郎 goto.ryutaro.8n(at)kyoto-u.ac.jp((at)を@に変えて送信)