第57回瀬戸海洋生物学セミナー(オンライン)

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”磯もの”の進化と多様性

山崎 大志 学術研究員(東北大学東北アジア研究センター)
2021年9月21日(火)16:00~17:30

複雑な海岸線が様々な環境に縁取られた日本列島の沿岸域は、世界的にも海産生物の多様性が高いことで知られるホットスポットです。この列島弧の民は貝塚から万葉の世を経て、現代に至るまでその恩恵を受け生活してきました。一方で、磯遊びで観察できる身近な生物においても、その進化史や種多様性の実態の理解には未解決な課題が残されています。本セミナーでは「磯もの」や「シッタカ」等と呼称され、食用とされる場合もある身近な巻貝類を中心に、その形態的・生態的・遺伝的な多様性をご紹介します。種固有の生態的特徴と、形態・系統進化、遺伝的構造の関係性を議論し、研究の結果明らかとなった種多様性について話題提供できればと思います。

A,東アジア産バテイラ属の対照的な形態型の2型(山崎, 2020).しばしば亜種とされ区別される.B,イシダタミ属3種の生息地嗜好性(1種の生息地ジェネラリストと2種のスペシャリスト)(Yamazaki et al., 2021) .C, 九州西岸域に固有な巻貝の形態的多様性(山崎, 2019).

山崎 大志 (2020) シッタカのかたち、色、そして種分化. 公益財団法人水産無脊椎動物研究所季刊広報誌うみうし通信 107, 2–4.

Yamazaki D, Miura O, Uchida S, Ikeda M, Chiba S (2021) Comparative seascape genetics of co-distributed Monodonta spp. intertidal snails in the Japanese and Ryukyu archipelagoes. Marine Ecology Progress Series 657, 135–146.

山崎 大志 (2019) 隠れた種多様性:九州島西岸に固有な貝類の進化. 東北東北アジア学術交流懇話会ニューズレターうしとら 78, 2.

お問合せ窓口

後藤 龍太郎 goto.ryutaro.8n(at)kyoto-u.ac.jp((at)を@に変えて送信)

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