第55回瀬戸海洋生物学セミナー(オンライン)

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多毛類の系統分類学と形態・生態進化

自見 直人 助教(名古屋大学大学院 理学研究科附属臨海実験所)
2021年7月28日(水)13:30~15:00

カイメン共生性のウロコムシ科の一種
特殊な眼をもつ体長約60cmのミツクリウロコムシ

環形動物門多毛類はいわゆる「ゴカイ」の仲間であり、釣りをされる方はアオイソメやイワムシ等で馴染み深いかと思う。ミミズのようなにょろにょろとした体が皆さんの頭の中に浮かぶかと思うが、ダルマのように丸いものがいたり、錨状のものがいたり、と実は多毛類は一筋縄ではいかないグループである。

多毛類は世界から約12,000種、日本から約1,600種が知られる(Read & Fauchald 2021; 自見 2019)。イワムシのように底生性で岩の裏や砂の中にいて他生物を捕食するものもいれば、終生浮遊性でマリンスノーを食べて生活するものもいる。陸上からマリアナ海溝の底の超深海まで生息し、どこにいってもゴカイはいる。生殖様式についても出芽や分裂等の無性生殖や有性生殖、性転換を環境に合わせて柔軟に行う等多様化している(Schroeder & Hermans 1975)。当然、形態および生態も多様化しており、研究対象として大きなポテンシャルを秘めている。

本セミナーではそんな魅力的な環形動物の系統分類学的な概説と近年発表者が進めている2つのテーマについて紹介する。一つは共生性多毛類の進化について、もう一つは多毛類における特殊な眼の進化についてである。

Jimi N, Hookabe N, Moritaki T, Kimura T, Imura S (2021) First evidence of male dwarfism in scale-worms: a new species of Polynoidae (Annelida) from hermit crab and molluscan shells. Journal of Zoological Systematics and Evolutionary Research 59, 801–818. 等

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後藤 龍太郎 goto.ryutaro.8n(at)kyoto-u.ac.jp((at)を@に変えて送信)

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