水族館には、採集・購入・受贈などの収集活動によって様々な生物が入ってきます。ここでは、それらのうち当館にとって珍しい、あるいは話題性があると思われる生物を選んで飼育担当者が紹介します。
ユビノウハナガサウミウシ
学名 |
Tritoniopsis elegans (Audouin in Savigny, 1826) |
分類 |
腹足綱・裸側目・ホクヨウウミウシ科 |
展示水槽 |
227号水槽 |
メモ |
全体が真っ白で、背中に枝のような突起が多数あるのが特徴的なウミウシです。
紀伊半島南部以南、紅海に分布し、浅海の岩礁に生息します。
サンゴの仲間である、ユビノウトサカを食べることが知られており、岩礁などに生えているユビノウトサカを調べると、このウミウシが隠れていることがあります。 |
ニシキウミウシ
学名 |
Ceratosoma trilobatum (J.E.Gray, 1827) |
分類 |
腹足綱・裸側目・イロウミウシ科 |
展示水槽 |
227号水槽 |
メモ |
ウミウシの一種で、全体が赤っぽい色をしており、褐色や黄色の斑点がところどころにあるのが特徴です。
房総半島以南〜太平洋・インド洋の亜熱帯・熱帯域、紅海に分布し、潮間帯から水深30mの岩礁に生息します。
個体による色彩変異が大きく、様々なカラーバリエーションがあります。 |
ミナミオカガニ
学名 |
Cardisoma carnifex (Herbst, 1796) |
分類 |
節足動物門・十脚目・オカガニ科 |
展示水槽 |
306号水槽 |
メモ |
オカガニの仲間で、陸にすむカニでは最大になるカニです。
紀伊半島以南〜西太平洋・インド洋の温帯・熱帯域に広く分布し、河口や海岸近くの草地、砂地に生息します。
熱帯性のカニなので、紀伊半島では非常に珍しく、また本州での採集例はこの個体を含めて4件しか報告されていません。
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ハナオトメウミウシ
学名 |
Chromodoris tinctoria (Ruppell & Leuckart, 1828) |
分類 |
腹足綱・裸側目・イロウミウシ科 |
展示水槽 |
227号水槽 |
メモ |
白い体で、背中に赤色の網目模様があるかわいらしいウミウシです。
相模湾、紀伊半島〜西太平洋の亜熱帯・熱帯域に分布し、浅海の岩礁域に生息します。
春に成体となり、夏前には産卵して短い一生を終えます。 |
サメハダテヅルモヅル
学名 |
Astroboa aarctos Matsumoto, 1915 |
分類 |
棘皮動物門・クモヒトデ綱・テヅルモヅル科 |
展示水槽 |
214号水槽 |
メモ |
からくさ模様のように何重にも枝分かれした腕を持つ、テヅルモヅルの一種です。
相模湾以西に分布し、潮通しの良い岩礁に生息します。
枝分かれした腕を水中で広げて、流れてくるプランクトンや有機物を捕まえて食べて暮らしています。このため、同じようにプランクトンなどを集めて食べるウミシダ類と同じ水槽で展示しています。 |
ナンヨウツバメウオ(幼魚)
学名 |
Platax orbicularis (Forsskal, 1775) |
分類 |
硬骨魚綱・スズキ目・マンジュウダイ科 |
展示水槽 |
304→403号水槽 |
メモ |
成魚と幼魚で、模様がかなり異なる魚の一つで、成魚は黒っぽい色をしており、幼魚は茶色っぽい色をしています。
三陸沿岸以南〜中・西部太平洋、インド洋の亜熱帯、熱帯域、紅海に分布し、沿岸の表層、成魚はサンゴ礁に生息します。
幼魚の体色は枯葉に化けていると考えられており、泳ぎ方も枯葉が波に揺られているような動きをします。 |
ウシエビ
学名 |
Penaeus monodon Fabricius, 1798 |
分類 |
節足動物門・十脚目・クルマエビ科 |
展示水槽 |
210号水槽 |
メモ |
クルマエビの仲間で、「ブラックタイガー」という別名で親しまれています。
東京湾以南から西部太平洋・インド洋の亜熱帯・熱帯域に広く分布し、内湾・河口の砂泥底に生息します。
日本の天然物のウシエビは数が少ないため、スーパーなどで売られているウシエビは東南アジアで大量に養殖し輸入したものです。 |
セミホウボウ
学名 |
Dactyloptena orientalis (Cuvier, 1829) |
分類 |
脊索動物門・硬骨魚綱・スズキ目・セミホウボウ科 |
展示水槽 |
405号水槽 |
メモ |
大きなむなびれが特徴的な魚です。かつてはホウボウと同じグループとされていましたが、最近の研究でセミホウボウ科にわけられました。
東北から太平洋・インド洋の亜熱帯・熱帯域に広く分布し、砂泥底に生息します。
ホウボウと同じく、敵に襲われそうになると大きなむなびれをさっと広げて、相手を驚かせます。この行動はフラッシングと呼ばれています。 |
ネコザメ
学名 |
Heterodontus japonicus (Maclay and Macleay, 1884) |
分類 |
脊索動物門・軟骨魚綱・ネコザメ目・ネコザメ科 |
展示水槽 |
407号水槽 |
メモ |
他のサメと違い、ずんぐりとした頭が特徴的なサメです。
南日本〜東シナ海に分布し、岩礁・藻場に生息します。
図鑑では貝などを好んで食べるとあるのですが、今回展示している個体はエビやカニが好みらしく、オキアミをたくさん食べています。 |
イシガキフグ
学名 |
Chilomycterus reticulatus (Linnaeus, 1758) |
分類 |
脊索動物門・硬骨魚綱・フグ目・ハリセンボン科 |
展示水槽 |
303号水槽 |
メモ |
全身にトゲがはえたハリセンボンの仲間で、トゲが比較的短いのが特徴です。
本州中部以南〜太平洋の温・熱帯域に分布し、浅い岩礁に生息します。
入ってきたばかりのころに、他のフグにいじめられて尾びれが欠けてしまいましたが、その後は元気に過ごしています。人懐っこく、水槽の手前によく寄ってきます。 |
ナキオカヤドカリ
学名 |
Coenobita rugosus H. Milne Edwards, 1837 |
分類 |
節足動物門・十脚目・オカヤドカリ科 |
展示水槽 |
306号水槽 |
メモ |
陸上で生活するオカヤドカリの仲間です。紀伊半島以南〜西太平洋・インド洋の亜熱帯・熱帯域に分布し、海岸付近の砂浜・海岸林に生息します。
木登りが得意で、植物を主に食べるようです。本種は国の天然記念物に指定されており、当館では国の許可を得て特別に採集・展示を行っています。 |