水族館には、採集・購入・受贈などの収集活動によって様々な生物が入ってきます。ここでは、それらのうち当館にとって珍しい、あるいは話題性があると思われる生物を選んで飼育担当者が紹介します。
アオウミウシ
学名 |
Hypselodoris festiva (Adams, 1861) |
分類 |
腹足綱・裸側目・イロウミウシ科 |
展示水槽 |
227号水槽 |
メモ |
青い体に黄色の縁取りが特徴のウミウシです。
本州中部以南〜香港に分布し、浅海の岩礁に生息します。
水族館周辺でも時々見られるウミウシです。 |
ハナオトメウミウシ
学名 |
Chromodoris tinctoria (Ruppell & Leuckart, 1828) |
分類 |
腹足綱・裸側目・イロウミウシ科 |
展示水槽 |
227号水槽 |
メモ |
白い体で、背中に赤色の網目模様があるかわいらしいウミウシです。
相模湾、紀伊半島〜西太平洋の亜熱帯・熱帯域に分布し、浅海の岩礁域に生息します。
春に成体となり、夏前には産卵して短い一生を終えます。 |
ヒメイカ
学名 |
Idiosepius paradoxus Ortmann, 1888 |
分類 |
軟体動物門・頭足綱・コウイカ目・ヒメイカ科 |
展示水槽 |
227号水槽 |
メモ |
体の大きさ15mmほどの非常に小さなイカで、現生のイカ・タコの仲間では最小の種です。小さくてもちゃんと墨をはくことができます。
北海道南部以南に広く分布し、浅海内湾の海藻の間などに生息します。背中側に粘液を分泌する部分を持っており、この粘液で海藻などにくっついていることが多いようです。餌は小型の節足動物で、小さなエビやヨコエビなどを食べています。
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イッカクヒメセミエビ
学名 |
Galearctus timidus (Holthuis, 1960) |
分類 |
節足動物門・十脚目・セミエビ科 |
展示水槽 |
210号水槽 |
メモ |
大人でも全長10pくらいのヒメセミエビの一種で、背中に名前の由来ともなった大きな角があることが特徴です。
御前崎以南、台湾、フィリピン、南アフリカに分布し、岩礁に生息します。
日本での採集例はあまりなく、当館での展示は初となります。同じ水槽でヒメセミエビとキタンヒメセミエビも展示しており、違いを見つけるのも面白いかもしれません。 |
ツバサゴカイ
学名 |
Chaetopterus cautus Marenzeller, 1879 |
分類 |
環形動物門・多毛綱・ツバサゴカイ科 |
展示水槽 |
302号水槽 |
メモ |
ゴカイなどの仲間ですが、独特な姿をしていることで有名です。
日本各地〜フィリピンに分布し、潮間帯〜水深20mの砂底・泥底に生息します。
干潟などに巣穴をほって、その中で暮らしています。体にオール上の構造があり、これで水流を起こして、水中に漂うエサを巣穴の中に吸い込みます |
ウシエビ
学名 |
Penaeus monodon Fabricius, 1798 |
分類 |
節足動物門・十脚目・クルマエビ科 |
展示水槽 |
210号水槽 |
メモ |
クルマエビの仲間で、「ブラックタイガー」という別名で親しまれています。
東京湾以南から西部太平洋・インド洋の亜熱帯・熱帯域に広く分布し、内湾・河口の砂泥底に生息します。
日本の天然物のウシエビは数が少ないため、スーパーなどで売られているウシエビは東南アジアで大量に養殖し輸入したものです。 |
キミオコゼ
学名 |
Pterois radiata Cuvier, 1829 |
分類 |
脊索動物門・硬骨魚綱・スズキ目・フサカサゴ科 |
展示水槽 |
304号水槽 |
メモ |
鮮やかな姿をしたミノカサゴの仲間で、尾の付けねに白色の縦線があるのが特徴です。
土佐湾以南、八丈島、伊豆大島から西太平洋・インド洋の亜熱帯・熱帯域に広く分布し、沿岸のサンゴ礁・岩礁域に生息します。
やや暖かい海を好むため、紀伊半島で採集されることは珍しく、白浜周辺ではなかなか見られません。 |
アカテヅルモヅル
学名 |
Astroglymma sculptum (Doderlein, 1896) |
分類 |
棘皮動物門・クモヒトデ綱・テヅルモヅル科 |
展示水槽 |
403号水槽 |
メモ |
一見海藻のようにも見えますが、ヒトデやウニの親戚であるクモヒトデの仲間です。
紀伊半島南部から西太平洋・インド洋の亜熱帯・熱帯域に分布し、水深7-300mの岩場に生息します。
腕は何重にも枝分かれしており、この腕を水中で広げて流れてくるプランクトンや有機物を捕まえて食べて暮らしています。 |
セミホウボウ
学名 |
Dactyloptena orientalis (Cuvier, 1829) |
分類 |
脊索動物門・硬骨魚綱・スズキ目・セミホウボウ科 |
展示水槽 |
405号水槽 |
メモ |
大きなむなびれが特徴的な魚です。かつてはホウボウと同じグループとされていましたが、最近の研究でセミホウボウ科にわけられました。
東北から太平洋・インド洋の亜熱帯・熱帯域に広く分布し、砂泥底に生息します。
ホウボウと同じく、敵に襲われそうになると大きなむなびれをさっと広げて、相手を驚かせます。この行動はフラッシングと呼ばれています。 |
ネコザメ
学名 |
Heterodontus japonicus (Maclay and Macleay, 1884) |
分類 |
脊索動物門・軟骨魚綱・ネコザメ目・ネコザメ科 |
展示水槽 |
407号水槽 |
メモ |
他のサメと違い、ずんぐりとした頭が特徴的なサメです。
南日本〜東シナ海に分布し、岩礁・藻場に生息します。
図鑑では貝などを好んで食べるとあるのですが、今回展示している個体はエビやカニが好みらしく、オキアミをたくさん食べています。 |
イシガキフグ
学名 |
Chilomycterus reticulatus (Linnaeus, 1758) |
分類 |
脊索動物門・硬骨魚綱・フグ目・ハリセンボン科 |
展示水槽 |
303号水槽 |
メモ |
全身にトゲがはえたハリセンボンの仲間で、トゲが比較的短いのが特徴です。
本州中部以南〜太平洋の温・熱帯域に分布し、浅い岩礁に生息します。
入ってきたばかりのころに、他のフグにいじめられて尾びれが欠けてしまいましたが、その後は元気に過ごしています。人懐っこく、水槽の手前によく寄ってきます。 |
ナキオカヤドカリ
学名 |
Coenobita rugosus H. Milne Edwards, 1837 |
分類 |
節足動物門・十脚目・オカヤドカリ科 |
展示水槽 |
306号水槽 |
メモ |
陸上で生活するオカヤドカリの仲間です。紀伊半島以南〜西太平洋・インド洋の亜熱帯・熱帯域に分布し、海岸付近の砂浜・海岸林に生息します。
木登りが得意で、植物を主に食べるようです。本種は国の天然記念物に指定されており、当館では国の許可を得て特別に採集・展示を行っています。 |