第65回 瀬戸海洋生物学セミナー

「ヤドカリの“宿”を作るヒメキンカライソギンチャクの分類・共生生態と進化学的研究への展望」
吉川 晟弘 特任研究員(東京大学 大気海洋研究所附属国際・地域連携研究センター)

2022年5月25日(水)16:00〜17:30
*本セミナーはオンライン形式です。参加のお申込は、下記フォームよりお願いします。
参加申込フォーム(5月24日正午締切)

イソギンチャクの体は、全体的に軟体部のみで構成されている。しかし、ごく一部のヤドカリと共生するイソギンチャク類(キンカライソギンチャク属など)には、自身の分泌物で貝殻のような固い構造を作り出す種がいる。発表者らが、ジンゴロウヤドカリと共生しているイソギンチャクを分析したところ、日本で「ヒメキンカライソギンチャク」として知られていたものが未記載種であることが判明した。そこで、これをキンカライソギンチャク属の新種として記載し、Stylobates calciferという学名を与えた。そして本種の摂餌様式や、ヤドカリとの共生様式に関する行動観察も実施し、深海での特異な共生生態を理解するための自然史学的知見を拡充させた。

本セミナーでは、上述の研究成果を紹介と、ヒメキンカライソギンチャクを含む「貝殻を作る種」の貝殻形成様式に関する現在進行中の研究についても紹介する。

[図1.ジンゴロウヤドカリの貝殻の上で共生するヒメキンカライソギンチャク]


[図2.ヒメキンカライソギンチャクが作り出した貝殻構造の写真とイラスト
(イラスト:きのした ちひろ)]

  • 関連文献
  • Yoshikawa, A., Izumi, T., Moritaki, T., Kimura, T., Yanagi, K. (2022) Carcinoecium-forming sea anemone Stylobates calcifer sp. nov. (Cnidaria, Actiniaria, Actiniidae) from the Japanese deep-sea floor: a taxonomical description with its ecological observations. The Biological Bulletin, 242(2): XX-XX. (Epub ahead of print)

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後藤 龍太郎 goto.ryutaro.8n(at)kyoto-u.ac.jp((at)を@に変えて送信)