畠島の自然保護

畠島は、瀬戸臨海実験所が管理している無人島で、全国の大学の研究者および学生による研究調査や磯観察の拠点となっています。したがって、人の影響が及ばない自然の状態を保つことが重要であり、研究・教育目的であっても、生物採集は最低限にとどめる必要があります。このため、実験所ではレジャー目的の畠島への上陸を禁止しています。畠島の自然を保護する理由は、以下のとおりです。

  • 田辺湾の海岸生物を一望できる

    畠島の位置する田辺湾は、紀伊半島の南西側にあって、黒潮の影響下にあり、南方系の生物と温帯系の生物の両方がみられるところです。瀬戸臨海実験所は、1922年に創設されて以来、世界に向けて田辺湾の生物の研究を発信してきました。そのような田辺湾の生物が集約されています。

  • 田辺湾の環境変遷をたどる拠点

    1980年代、かつて畠島に大量のアサリが出現したことがありました。当時、田辺湾全体が富栄養状態で、有害物質による汚染の影響もあって、畠島からは多くの種類の生物が消滅しました。その後2000年代になって、田辺湾全体の環境が改善されて来たことで、いったんいなくなった生物が少しずつ戻って来ています。潮干狩りのアサリはほとんどいなくなりましたが、本来の畠島の環境に戻って来ているものと考えられます。このような生物の変遷は、瀬戸臨海実験所の関係者によって、継続して調べられています。

  • 海岸生物に与える人の影響

    海岸のあらゆる生物は、お互いに関係を持ちながら生息しています。例えば、磯にいるウニや小さな巻貝が、海藻の生え方に影響を与えると言われています。ウニや「いそもん(磯物)」を大量に採集することは、そのような周辺の環境に影響を与えることになります。また、石をひっくり返したり、砂を掘り返したりしたままにしておくことは、そこに住んでいる生物に大きな影響を与えます。なによりも自然の状態に保つことが重要です。

  • 天然記念物の存在と国立公園の指定

    畠島の海岸に生息するオカヤドカリ類は天然記念物に指定されています。また、岩礁帯にみられる化石漣痕および泥岩岩脈も天然記念物であり、貴重な自然地形です。畠島は、隣にある南方熊楠ゆかりの神島や、ナショナル・トラスト運動の先駆となった天神崎などとともに、吉野熊野国立公園の田辺白浜海域公園地区として保護されています。

  • 以上の畠島の自然保護区としての重要性を踏まえて、無許可での畠島への上陸を禁止していることにご理解とご協力をお願いします。

    [復活したゴマフニナ]

    [海岸生物群集一世紀間調査]

    [転石の裏にいる動物たち]

    [天然記念物オカヤドカリ]