公開臨海実習「海産無脊椎動物分子系統学実習」

ここでは、主な実習内容を紹介します(天候等によって変更することがあります)。
参加申込は教育ページの「受付中」のリンク先をご覧ください。


»この実習の記録を見る(公式ブログ)

  • 概要

    海産無脊椎動物に焦点をおき、海岸での標本採集から分子系統樹の作成、それらの結果に基づく研究発表まで、分子系統学的手法を一通り学ぶことを目的とします。

  • テーマの設定

    [よく似たナガウニ類の複数種]

    分類が未解明で種の同定が困難な分類群(例えば識別形態が重複するグループ、形態からは区別できないが生態の異なるグループ、成体と幼体とで形態が異なるグループなど)に着目した複数のテーマから、興味のあるテーマを選びます。

    下記の手順で分子系統解析を実行し、選んだ分類群の実際の形態と系統の比較や、進化の過程などを推定します。

  • 生物採集と標本作製

    [番所崎での生物採集]

    実験所周辺の海岸で標本となる軟体動物のオオヘビガイ類、節足動物のイソガニ類・エビヤドリムシ類、棘皮動物のナガウニ類、幼生プランクトンなどを採集します。

    採集した標本は実習室に持ち帰って個体別に形態を記録し、分子系統解析に適したエタノール標本にします。写真撮影、ラベルの記入、固定前処理など、標本作製を学びます。

  • DNA抽出と増幅・塩基配列の決定

    [DNA増幅確認のための電気泳動]

    エタノール標本組織から、薬品処理によって細胞内のDNAを抽出します。このDNA中の特定の領域(ミトコンドリアCOIなど)をPCR法により増幅します。

    目的とするDNA領域の増幅をアガロースゲル電気泳動により確認し、余分な塩基を取り除いて精製します。その後、蛍光標識された塩基を加えてキャピラリー電気泳動での検出を可能にし、シークエンサーでDNAの塩基配列を決定します(サイクルシーケンス法)。

  • 系統樹の作成と考察・結果発表

    [作成された系統樹の一例]

    標本および近縁種の塩基配列データのアライメントを行い、各分類群の系統樹を作成します。関係する分類群の塩基配列データは、オンラインデータベースに登録されたものをダウンロードします。

    推定された系統関係から、各系統と形態・生態の違いを考慮し、形態からの同定が難しい種の推定や、種の境界線および隠蔽種の認識を試みます。最後に、考察結果をまとめて発表します。